三段峡ストーリー

三段峡とは

三段峡とは広島県の北西部に位置する安芸太田町を流れる柴木川の上流にあり1953年(昭和28年)には国の特別名勝に指定された由緒ある峡谷です。
全長16kmにもおよび峡内には100mある絶壁に囲まれた「黒淵」や、切り立った断崖の上を猿が飛び交ったことに由来する「猿飛」など数多くの名所が存在し入峡した人々を魅了しています。さらに多くの植生物が生息しており四季折々に異なる表情を楽しめる美しい峡谷としても有名です。

歴史

地球の息吹を感じる秘境の歴史

重なる想いと自然の威力


三段峡は発見されてから2017年(平成29年)に100周年を迎えた歴史ある峡谷です。未踏の峡谷であった三段峡は先人達の努力によって自然環境が保全および保護されて美しい景観を保っています。入峡すると別世界に入ったような錯覚に陥るほど数多の針葉樹や常緑樹、落葉広葉樹に覆われており河川の音と相まって五感が刺激されます。美しい景観と豊かな生態系から第一級の「自然博物館」として海外からも注目されています。さらに安芸太田町は「森林セラピー基地®」として認定され森の香りや自然の音を五感で体感し「癒し効果」を得る体験ツアーを実施しています。

発見そして継承へ


1917年(大正6年)に写真家の熊南峰が写真の題材を探している途中に当時未開の地であった三段峡に足を踏み入れました。その峡谷の美しさに魅了され、中国の風景をモチーフにした「山水画」を想起させる峡谷の景観を保護し来世へ継承したいと考えました。小学校教師を勤めていた斎藤露翠を始めとする地元住民の助けを借りながら三段峡の自然保持と文化的価値の継承に勤しみ1953年(昭和28年)には特別名勝に指定、1969年(昭和44年)には三段峡を含む西中国山地地域が国定公園に指定されました。

壮大な自然と先人の創意工夫


熊南峰や斎藤露翠らの情熱によって今日に至るまで自然豊かな美しい三段峡を楽しむことができています。彼らの目標の一つが三段峡の美観を永久に保つことだったため峡谷を名勝指定するための運動に努めました。指定を受けた後はより多くの人々に三段峡の中を歩いて楽しんでもらいたい、とのことから遊歩道を設置。遊歩道にも彼らの強いこだわりが詰まっており自然環境にできるだけ干渉しないようにコンクリートを極力使用せずに石積は峡内の石を用いています。さらに遊歩道を河川よりも高く設置することで勢いのある渓流を眺めながら水の音を背に峡谷美を体感することができます。

名称の由来


熊南峰は美しい峡谷を伝えるために名称を考えました。「松落葉集」の一節にある「山に三峨のごときものあり、水に三峡のごときものあり」という中国・四川省の景勝地になぞって三段峡の源流をなす十方山、臥竜山、深入山を三峨に、横川川、八幡川、柴木川を三峡に見立てました。さらに三段滝、三ツ滝によって地形全体が三段を形成している点をふまえて「三峨・三段・三峡」から一文字ずつ抜き出し「三段峡」という名を名付けました。

成り立ち

地球の長い歴史のなかでうつくしく、
力強く育まれた三段峡。

遠い昔から今日に至るまで人々に自然の美を伝えてきた三段峡。屈曲が多く箱庭のように景観が展開していく特殊な地形である峡谷がどのような軌跡を辿ってきたのかを最新のCG映像を用いてご紹介します。この動画を見ると、より三段峡が好きになります。